おめでとうの日
父が還暦を迎えた。
我が家は還暦祝いでなにか特別なことをしたりはしないけど、誕生日にはケーキを買ってきてみんなで食べる習慣がある。私の中では誕生日ケーキをみんなで食べるだけでも充分特別な感じがする。
ただ、父が病気になってからは気分次第でその場が大荒れになったことや、父だけが不在だったことも少なくはない。
せっかくのめでたい日なのに、微妙な空気になるのは切ないのでとても気を使う。
この日もケーキを買って帰ってきたはいいものの、兄の帰りが遅くて待ちくたびれた父と母は寝ちゃってて、おばあちゃんも寝る準備に入っていて
兄はよ帰ってこいと念じてたら、やっと兄帰宅。
みんなが集まる流れになった途端、父がバースデー拒否モードに入ってしまう。
なんと間が悪いんだろうと思いつつ、母が話しかけても、反発で怒鳴り始めたので慌てて誘導作戦開始。まずは父と2人だけになり、丁寧な言葉で話しながらも推しは強く、勢いに負けて笑った瞬間、そのテンションを崩させないようにひたすら話しかける。結果、誘導作戦大成功。珍しく、すんなりいってびっくり。
誕生日ケーキのスポンジやクリーム、正直あまり得意ではないけど、やっぱりみんなで食べれて良かった。
今の父は、どこか他人事のように接すると、向こうも態度が少し丁寧な気がする。
(実際、ケアマネさんは作業療法士さんや、外の人に対してはあまり怒鳴り散らしたりはしないので他人でいるスタンスは重要?)
元々父が私には弱い(甘い)というのが大きいかもしれないけど、最近は父のいる部屋にはあまり入らないようにしていたので、私自身も冷静に対応出来た。
そのあと、母に感謝された。頼られるのは嬉しいけど、頼られる度にここから離れられないような気持ちになってしまって複雑な気分になる。
家族というものに、固執している。といよりは元気だった頃のお父さんを忘れたくない、のに、目の前では別人の父がそこにいることに未だに戸惑って、立ち止まってしまっているのかもしれない。それが固執というのか、いつになったら進むのか。
父が小脳出血になって、高次脳機能障害を負ってから5年も経った。
5年もあればいろんなことが変わるし、変わらないことももちろんある。
おばさんから電話がかかってきた時、酷く現実味のない話だと思いながらも涙は止まらなくて、学校から必死に走って病院に向かった記憶が今でも鮮明に残っている。
当時は自分の父が60歳になるなんて想像もついてなかったな。おめでとう、お父さん。
大変なことも多いけど、何よりみんな健康でいてほしい。
写真は父の職場だった場所のメモ書き。
よかったこと
誕生日をお祝いできたこと。
良い匂いだと思うハンドクリームを買えた。
雀の親子を見かけた。